季節 | 我が漂流記

CALENDAR
S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< June 2018 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
RECOMMEND
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
年賀状と手袋

最近は年賀状もあまり届かなくなった。何年も前から自分から出すのをやめていたからだが、それでも届いたものには返信を出していた。中でも、小学校時代の恩師から毎年届く年賀状には自筆の絵が印刷されていて、絵を描くのが好きだった恩師の人柄が出ていて届くのを楽しみにしていたのである。 ところが、今年は珍しく、恩師からの年賀状が届かなかった。七年前に懐かしくなって、どうしても会いたくなり、教師になっていた同級生に連絡をとり、恩師の連絡先を教えてもらって会いに行って以来、ずっと年賀状だけはやりとりしていたのでのである。恩師は小学校教師を定年退職後、高齢者向けの陶芸教室の講師を週に何日か勤めていると言っていたが、独身で一軒家に一人暮らしをしていた。 あれから七年経っているのだから、もう70歳近くになっているはずである。毎年、自筆の絵を描いて年賀状を作っていた人から年賀状が来なかったことを考えると、恩師の身に何かあったのでは?と考えるのは至極当然のように思われた。 その日はとても風の強い日だった。冷たい木枯らしが容赦なく吹き抜けていた。しかし、図書館から借りていた本の返却期限の日だったので、僕は自転車で図書館へ向かった。 かじかむ手でハンドルを握りながら、自転車で来てしまったことを後悔した。 そして、図書館で本を返した後、帰途に着く途中で恩師の家の近くを通りかかったのである。 僕は自然とハンドルを切っていた。恩師の家のある場所を記憶を頼りにペダルを漕いだ。 『あった!』 一戸建てが並ぶ住宅街に恩師の名前が記された表札が出ていた。 恩師はまだこの家にいるかもしれない。駐車場には車があった。 そして、部屋には電気が灯っていた。 表札はそのままだったので、このまま帰ろうかとも思ったのだが、 安否確認のつもりで、ベルのボタンを押してみた。まもなく、ドアが開いて、中から白髪の老人が現れた。 よく見ると、紛れもなく恩師だった。僕は年賀状が届かなかったのでと訪ねて来た事情を話した。 最初は怪訝そうにしていた恩師が、僕が教え子だとわかると、『何もないけど、上がっていきなさい』と言って家に招き入れてくれた。 元気そうで良かったという安堵の思いが込み上げてきて、何も持たずに来たことも忘れて、誘われるままに家に上がり込んでいた。 恩師は、親戚の結婚祝いの集まりがあったので前橋の実家に帰っていて先ほど帰宅したばかりだと言った。だから、何もないんだけどと、冷蔵庫から冷えた缶ビールと柿の種とチーズを出してきて炬燵に入って脚を崩すように言った。『君のところには年賀状は出したはずだよ。コンピュータに宛先を入れてあるからね。とにかく、来てくれて嬉しいよ』恩師はそう言って乾杯すると、ビールを美味そうに飲んだ。 そして、今はこうしてビールを飲めるようになったが、数年前に人間ドックで癌が見つかり、胃を全摘してしまったこと、体重が10kg減ったこと。食事をしても消化しきれなくなったので、一回の食事量を減らして食事の回数を1日6食に増やしたことなど、食事の苦労を話してくれた。そして、最近ではこうしてビールを飲むことができるようになったのだと言った。その話を聞いて、やっぱり直接尋ねて良かったと思った。 恩師はビールを飲んで上機嫌で話をしているうちに、僕が知らない恩師の学生時代の話をしてくれた。手塚治虫が大好きで前橋の高校生だった頃、西武線の富士見台駅沿線にある虫プロまで押しかけたこと。同じく富士見台に住んでいたちばてつやの家も訪ねたこと。そして、美大を受けて浪人中に親に内緒でアニメの専門学校に入ったり、大学に入ってから仲間と共同で青年誌の漫画を連載したり、学生時代、缶詰工場でのアルバイトのエピソードなど、話を聞いているうちに、あっという間に時間が経っていた。思い返せば、恩師が担任だった小学校の学級文庫には手塚治虫の「火の鳥」とか「ブッダ」などの漫画が並んでいたし、絵を描く授業で点描画の技法を僕に教えてくれた恩師の人柄がどのように出来上がっていったのかが話を聞いてよくわかった。 そして、何よりその語り口が小学校の授業の時と全く変わらなかったのである。 よく恩師は、授業中に怖い話をしてくれたのだが、普段は落ち着きのない子供たちが、恩師が話し始めると皆、固唾を呑んで聞き入っていたものである。 あの語りを再び耳にすることが出来たのが何よりも嬉しかった。その時、僕は50歳のくたびれた男ではなく、目を輝かせる10歳の少年として確かにそこにいたのである。 確か、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の話を恩師から聞いて、そのあと、主人公が地獄に落ちる場面を絵で表現するという授業を受けた記憶があると僕が言うと、『あれは、公開でやった授業で外部から人が観に来たんだよね』と嬉しそうに言った。 僕は唐突に『先生、一枚写真、撮っていいですか?』と言った。 すると、恩師は『いや、俺は写真に撮られるのはあんまり好きじゃないんだけど、まぁ、いいよ』と言った。僕はスマホを構えてシャッターを切った。スマホのモニターで確認すると、恩師のはにかんだような笑顔が写っていた。 数時間は経っただろうか。 缶ビールを飲み干して、つまみの柿の種とチーズもなくなっていた。 僕は帰ることにした。 恩師は『いつでも、来なさい。その代わり、必ず電話をしてから来るんだぞ』と言った。『突然、お邪魔してすみませんでした。今度は電話をしてから来ます』そして、僕が玄関で靴を履こうとしていると、恩師は『自転車で帰るんなら、その格好じゃ寒いだろ。ちょっと待ちなさい』と言って、どこかから、手袋を出してきて、 『これを持っていきなさい。高いものじゃないから、そのまま捨てても構わないから』と言って、有無を言わせず、手渡したのである。 その夜、僕は木枯らしの吹く夜道を自転車で帰ったのだが、手袋を着けていたせいか思いのほか暖かく感じたのであった。
| 季節 | 00:42 | - | - |
写真の桜
満開の桜をSNSに投稿された写真で見る。これが現代の花見なのだと思った。
すべてがバーチャルになっていく。そう思うと、やらなくてはならないことを放り出して、散歩にでかけたくなる。
JUGEMテーマ:四季折々

 
| 季節 | 14:35 | - | - |
春のめざめ
寝ぼけ眼で電車に乗った。混んでいる時間なのに席に座れたので、「朝からついてるぞ」と思ったが、しばらくすると、周りの様子がどこかおかしい。それが一体、何なのか、ぼんやりと周りを見ていたら、いきなり、その違和感の理由が氷解して目が覚めた。乗客が全員女性なのである。「まさか…」と思って車両の窓に目をやると、女性専用の文字が書かれたステッカーが貼られていた。次の駅に止まるまでの数分間が、ひどく長く感じられたのは言うまでもない。
| 季節 | 08:10 | - | - |
正月の散歩

正月の静寂が好きである。実家の近所を散歩していても、出歩く人も疎らで静まりかえっている。もしや昨日で世界が終わってしまったのではないかと寂れた農道を歩きながら妄想に耽る。降り注ぐ冬の光が眩しかった。
| 季節 | 14:18 | - | - |
暖かいクリスマスプレゼント
 帰宅して暖まろうとガスファンヒーターのスイッチを入れたら、エラーが出て動かなかった。何度も電源を入れたり切ったりしたが、エラーのランプが点灯して動かない。終いには触っていられない程の高熱を発する始末であった。掃除機で埃を吸い取ったりしても無駄だった。試しにエアコンだけでこの冬を乗り越えようとも思ったが、忽ち体が冷えて震えてしまった。背面の製造年を見たら97年製だった。やはり買い換えることにした。それでアマゾンで検索してみると、これまで使っていたものと同じぐらいのものが1万5千円程で売っていた。更にもう少し大きなものが2万円程で売っていた。今まで使っていたものは小型で古いマンションではなかなか部屋の中が暖まらない。そこで、一回り大きなものを買うことにした。自分へのクリスマスプレゼントは期せずしてガスファンヒーターになったのであった。

| 季節 | 21:58 | - | - |
3月7日、雪。

 先日、ずいぶん寒いなと思って窓の外を見ると、しんしんと雪が降っていた。雪国の人から見れば、雪など見飽きてると思うのだが、房総半島出身で東京で暮らす僕にはやはり雪は珍しい。最近は食事の記録意外に滅多に写真を撮らなくなったのだが、ベランダに出て久しぶりにカメラのシャッターを切った。それにしても、今年の冬は不思議と雪と縁があったと思う。1月には、数十年ぶりに親戚を訪ねて大雪の降る北海道へ行ったし、2月にはこれまた数十年ぶりに小学生時代の恩師に会いに故郷の千葉に帰省した際にも珍しく雪が降った。それらの再会が雪の記憶と結びついて忘がたい思い出になっていくのだろうか。そんなことをぼんやりと考えているうちに、雪はいつの間にか雨に変わっていた。
| 季節 | 00:14 | comments(0) | - |
桜を愛でる心
 
 先日、近所を歩いていると、ホームレスのおじさんがひとり歩道に腰掛けて煙草を吸っていた。おじさんは、煙草を吸いながらじっと一点をみつめていた。視線の先には、一本の花の散りかけた枝垂桜が立っていた。帰って眠る家もなく、明日の糧さえままならぬ身の上で、散りかけの桜を愛でるおじさんの姿に日本人の心を見た思いであった。
| 季節 | 21:11 | comments(1) | - |
藤の花の咲く頃

JUGEMテーマ:日記・一般

 妻の実家の庭には藤の花が咲いていた。義父は娘が生まれた時、藤の花が咲いていたのを見て、娘に藤に因んだ名前をつけたそうである。
 今日は、妻の誕生日を二人でささやかに祝った。最近、老舗の出版社から出ている月刊の絵本のシリーズから妻の書いた写真の絵本が出たこともあり、二重の喜びとなった。その絵本を読んで、初めて妻の撮っている写真の魅力を理解できたような気がした。やはり、自分が興味を持ち、考えたもの、取材したものを形にするのは重要なことだと思った。感謝。
| 季節 | 22:04 | comments(0) | - |
冬の後には春が来る
 昨日、春一番が吹いたと思ったら、今日の気温は20度を超えていた。いつものように、ジャンパーを着て出かけたら、電車の中で汗だくになってしまった。
 冬の後には春が来る。それは自然の摂理なのだけど、厳しい現実を前にして、それもにわかに信じがたいことがある。いつまでも、厳しい寒さの中にいて、行けども行けども、道に迷って同じ所をぐるぐる回っているような気がしてくる。それでも、前に進まなければ、ただ、死を待つのみである。そうだ、前に進もう。きっと、春が来ることを信じて、一歩ずつ、確実に足下を踏みしめながら。
 
JUGEMテーマ:日記・一般


| 季節 | 23:33 | comments(0) | - |
年末は寂しい季節
JUGEMテーマ:日記・一般

 年末は、一年で一番静かで、一番寂しい季節だと子供の頃から思っていた。車や人の姿も街から消えて、辺りはしんと静まりかえる。でも、なぜ寂しいのかはよくわからない。もしかしたら、この時期、子供の頃聞いた「マッチ売りの少女」の物語を思い出すからかも知れない。
| 季節 | 23:58 | comments(0) | - |
| 1/2PAGES | >>