あこがれの人に会った | 我が漂流記

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あこがれの人に会った
早春スケッチブック〈上巻〉
早春スケッチブック〈上巻〉
山田 太一
仕事納めは年越しの番組だったので、それが、そのまま初仕事になった。
番組のゲストは脚本家の山田太一さんだった。
山田さんは、僕がまだ子供の頃、沢山の名作ドラマを世に送り出していた。「男たちの旅路」、「岸辺のアルバム」、「ふぞろいの林檎たち」など、数をあげればきりがないほど。リアルタイムで見ていたのは「ふぞろいの林檎たち」ぐらいなのだけど、どれも、他のドラマにはない観るものを惹きつける魅力を持っていた。学生時代に脚本家を目指していた僕にとって、山田さんは雲の上の存在だった。その山田さんがゲストにやってくる。僕は、矢も楯もたまらず山田さんの作品を読みたくなった。ネットで検索すると、「早春スケッチブック」という本がヒットした。上下巻で文庫で出ている。タイトルだけは聞いたことがあった。名作の脚本を文庫版で復刻したものに違いない。僕は、仕事場へ行く前に、本屋で「早春スケッチブック」の上下巻を購入した。中身をろくに見ないで買ったのだが、面白くないはずはないという確信があった。
 山田さんは、番組の通しリハーサルを見ておきたいとの意向から、放送の数時間前には、局にやってきた。僕は、新しい本に目を通す暇もなく、番組の台本に目を通す。一時間の放送時間の中で、お寺など十数カ所を中継で結んで年越しの様子を伝える番組は、一つ間違えば、全ての中継箇所の内容を伝えることができなくなる可能性が出てくる。それは、寒い屋外の現場で放送に備えるスタッフに対しては許されないことである。張りつめた緊張感の中、リハーサルが始まった。リハーサルが進むにつれて、プロデューサーの罵声が飛ぶ。入念に音の修正やコメントの修正が繰り返され、いよいよ本番となった。本番はプロデューサーの思惑通り、リハーサルより、はるかに良いできだった。皆、気合いが入ったのだろう。どの中継箇所も厳かな年越しの様子をアナウンサーのコメントと音で生き生きと伝えていた。
 放送終了後、ゲストを囲んでのささやかな打ち上げ。飲み物は缶ビールのみ。酒の肴はゲストとの話だけ。そこへ、助っ人で参加しただけの僕がなぜか参加を許された。ひとしきり、話を終えて山田さんが帰ろうとした時に、すみませんがと差し出した本にサインをお願いした。
本は買ったばかりの「早春スケッチブック」の上巻である。山田さんは嫌がるどころか「光栄です」と言って、笑顔で「お名前は?」と聞かれたので、名前を言うと、本の扉に○○様と僕の名前を書いて、左側に山田太一とサインしてくれたのである。
僕は、帰りのタクシーの中で、そっと本を取り出して、何度も本の扉を開けて、そのサインを確認したのだった。
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| 柴本幸ドットコム | 2007/10/03 6:32 AM |